Chair the difference

Installation
Feb, 2004
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IAMASの卒業制作。

普段、意識を向ける事が無い5hz~20hzの超低周波や、振動子によって体内から発生する音を組み合わせる事で、スピーカーやウーハーとは異なる音環境を体験者に提供し、音波と触覚に対して再考察するための作品を制作した。
具体的にはヘッドフォン用の音データ2chと振動子用の振動データ32ch、合計34ch音源とそれを体験するための椅子とシステムを作成。

詳細
マトリクス状に配置されたバルサのブロックの中には振動子が入っている。
それぞれの振動子には独立した音声信号が送信されて別々の振動が発生する。
ヘッドホンから再生されるステレオの音源と合計して同時に34ch分の音楽データが2台のコンピュータから再生される。
この作品の特徴的な点は、可聴範囲の音をわざわざ振動として体験させている点である。
背中一面に取り付けられた振動子から発生する振動は骨伝導や体内の水を媒体とした伝導によって、触覚だけではなく音として知覚される。鼓膜から聴く音とは異なった体験する事が可能になる。また、体の部位によって生成される音が異なる点や、32chのパンニングを駆使した体内定位を行う事でによって単純な振動ではなく、芸術表現としての振動を作り出した。
また、同時にヘッドフォンを用いている事で、普段意識する事が難しい音に注目する事が出来る。例えば、ヘッドフォンから10hzのサイン波(可聴範囲外の音)が再生されているシーンでは、背中部分の振動が無い場合には何も聴こえて来ないのだが(もちろん違和感を感じるが)、振動を発生させる事で、体内に流れる音と鼓膜から聴いている超低周波で干渉が発生し、バイノーラルビートとはまた異なった錯覚を味わう事が出来る。それは首や胸の中で干渉が起きている様な感じである。
これによって、普段ほとんど知覚する事が出来ない超低周波に意識を向ける事が可能となる。
ターンテーブルインターフェースを用いる事で、椅子に座った人が自分のタイミングで作品を体験出来る様に音源を聴くためのインタラクションをデザインした。
このシステムによって、振動データ32chと音データ2chを同時にスクラッチする事もが可能。
椅子のデザインは32個の振動子とヘッドフォン、超低周波と体内音の干渉というテーマから必然的に決定された。

補足
この作品は建築設計事務所Bariの戸川憲一氏、荒内要氏、(椅子設計)と株式会社マテリアル(アルミ加工、提供)、オンキョーリブ株式会社(振動子提供)の多大なるサポートによって実現した。
また、コンセプトや超低周波の害等で照岡正樹氏に多大なアドバイスを頂いた。
この場を持って心から厚くお礼を申し上げたい。